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映画見た(『悪は存在しない』)

2024-05-13

見た

職場上がりに映画館に行って見た. 私は社会人学生なので学生料金で見ることができたはずだが,
学生証を忘れていたため一般料金を支払った. 数少ない社会人学生であるメリットが…

感想

おおむね面白かった. 環境の変化でここ一年映画を全く見られていなかったため,
単に劇場で映画を見るという体験が楽しかった. とはいえ作品自体も面白かったと思う.
以下雑多に感想を述べる.

対立構造が陳腐

作中前半に示される自然 vs 文明の構図が(後半ずらされるにしても)陳腐.
うどんに使う水が澄んでいて~の下りはなんか「美味しんぼかよw」と思ってしまった.
社長やコンサルにどやされる場面や車中での高橋と黛のやりとりで,
どちらかというと同情してしまうのはグランピング側になるし,
それにそもそもこの作中の自然は単なる母なる自然みたいなものではなく
名状しがたい暴力的なもの(これがラストに繋がる)だと思われるので,
単純な対立に落とし込まないように努力している様子は見られる.
ただそのずらし方も含めてけっこうありがちな感じが…

トキシックな男性がかわいらしい(最後に死ぬところも含め)

車中のやりとりが素晴らしい. 高橋が大声を張り上げて, 黛のリアクションを見て
自らの攻撃性を冗談にしようとするところ(和やかな雰囲気にしようとしているが少しぎこちない)は最高.
前後含めて監督の最良の面が表れている場面だと思う.
町民が喋っている間にペットボトルを飲んで, イライラしてきたら黛に全て喋らすのも最低で素晴らしい.

死ぬのは物語的必然

感想を漁っているとラストの「考察」ばかり見るのだが, 整合的な解釈を考えるのはあまり意味がなさそう.
どちらかというと, 冒頭チェンソーの轟音から始まり不穏なストリングスが絶えず鳴り続ける雰囲気が,
サスペンスやホラーの文脈っぽくみえてしまった.
そう考えると滑稽で馬鹿な男性(同情には値する)が死ぬのは当然だ(死んでいるかは曖昧にされているけど)
呑気にグランピングの管理人としてのセカンドライフを語りだす下りなんかは, よくある死亡フラグのそれにしか見えない.

気持ち悪いショット